さくら荘から皆様へ

新年のご挨拶『さくら』

医療法人医仁会 理事長|小林 豊

  理事長2021年メッセージ

2020年は新型コロナウイルス(以下、コロナ)で終止した。この世情をコロナ禍(か)と一括りに表現される。禍(わざわい)とは「不幸をもたらす物事や出来事」であるが、この世界の現状を見ると、禍という一文字では軽すぎてその表現に足りない。

この一連の出来事はむしろ災害であり、世界恐慌ともいうべき経済への負の影響を考えると、人類史上初の「世界災害」なのではないだろうか。人間が招いたリーマンショックが人類の自業自得なのと比べて、自然界のウイルスという人間の500万分の1ほどの大きさの病原体に翻弄されているのだから、ある意味滑稽ですらある。世界では150万人を超える死者を数え、感染者に至っては6700万人に及ぶ。70億人といわれる世界の人口で考えると、世界の人の100人に1人が感染しているのである。

コロナは、全国の医療機関を一斉に直撃した初めての災害である。特に救急病院は、コロナの恐怖による受診抑制だけでなく、救急という門戸から常にコロナが入り込んでくる恐怖に苛まれているのである。無症状で経過する感染者も多いと言われている中で、職員や患者さんによるコロナの持ち込みに起因する院内感染はいつ起きても不思議ではない。一度起きると、院内感染による被害は甚大で、悪いことをしたかのようにメディアに取り上げられ、職員の身も心も打ち拉がれ、経営をも揺るがす事態に発展する。こんな苦境にこれほど多くの医療機関が直面したことはない。

しかしながら、こんなネガティブな側面ばかりが報道され、この世の最期に迫りつつあるような暗い気持ちになることを強いられているが、果たして悪いことばかりなのであろうか。

日本史で習う杉田玄白の「解体新書」の出版を日本の西洋医学の創成期とするならば、250年の日本医療の歴史のなかで、これほどまでに感染管理に全国の病院が向き合ったことがあったであろうか。当初目に見えない病原体に恐れをなすばかりであったが、徐々にすべき対応も全国の病院に行き渡り、均てん化できてきたことも収穫である。

電話診察の普及や遠隔(リモート)会議や面談、web講演会が普及したのも医療業界としては画期的ともいえる。当院が属する尾張北部医療圏では、3つの公的病院と3つのactiveな民間二次救急病院を中心に救急医療や急性期医療を担っているが、今般、この6病院の病院長間を結ぶグループチャットシステムを創設した。全病院のトップが1日に何度も現状を発信し、リアルタイムに情報共有するようになったのも、これまででは考えられない驚くべき進歩であり、成果といえる。

禍を禍としてしか見ることができなければ、それは不幸でしかない。禍を裏側から見た時、それは初めて、転じて福となる。コロナに目を瞑って、ただ闇雲に避けていても得られるものはない。正面より冷静に向き合い、立ち向かい、そこから多くを得ることが医療機関に求められ、これこそが一番大きな成長となるであろう。

当院もコロナの苦境の最中、部署を越えた職員が一丸となってこの荒波を乗り越えるべく前進している。悪戦苦闘しながら、着実に成長している当院の職員を誇りに思い、また尊敬の念を禁じ得ない。

春の来ない冬はない。そして、春が来た時、『さくら』はまた咲く。


医療法人医仁会という会社の「あるべき姿」

医療法人医仁会 理事長|小林 豊

  理事長就任のメッセージのメッセージ

医療法人医仁会は1983年に発足しているが、その布石は1980年の「大口外科クリニック」の開院に遡る。私が赴任してきた2011年までの31年間は歩を緩めることなく、規模の拡大を図ってきた。これは地域におけるそのニーズとこれに対して絶対に「断らない」というポリシーを前理事長が貫き、前理事長自身が寝食を忘れて地域医療・地域福祉へ尽力してきた結果、いや途中経過であった。高齢化社会が急速に進行していく中で、「断らない医療」を進めていきつつ、この地域のニーズを満たしていくには、この規模は譲れない必然であった。救急を積極的に遂行している総合病院を要する医療法人が大規模福祉施設を運営している、というのは、全国でも稀有であり、これがうまく噛み合った時に、超高齢化社会に対する医療と福祉における一つの答えとなり、社会のために当法人が歩んできた道のりは、確固とした信念に基づいた「あるべき姿」なのである。

規模の拡大は人員の増員を要し、急激な増員は職員の定着を許さず、職員の回転が教育を阻み、働く者のモチベーションの維持は大きな課題であった。どんな会社でも従業員のモチベーションはテーマとして掲げられるが、当法人でも例外ではなかった。モチベーションの向上は一朝一夕にしてなるものではなく、これは環境の変化が求められた。私が赴任して、職員の集会で最初にスピーチで話した目標は、「離職率の低下」と「従業員満足度の向上」であった。他業種の企業では当たり前になっている、「顧客満足度(Customer satisfaction; CS)」は「従業員満足度(Employee satisfaction; ES)」の上に成り立つ、ということの具現化である。医療や福祉という業界は、そもそもCSのためにESを犠牲にしてきた業界であり、働く者の気合と根性で作り上げられてきた文化であった。医療福祉業界は、大きく舳先を「あるべき姿」に向けて転換することを求められているのである。

私が赴任してきた2011年は平成23年であり、平成生まれが大学を卒業して社会人としてデビューしだすタイミングであった。恐らくこのタイミングは、ESを犠牲にするということを医療福祉の業界でも見直さなければならない時期を迎えた、そういう波を感じる時代の変化であった。2015年の大手広告代理店の新入社員の過労自殺をきっかけに、時間外労働や労務環境の改善がいかなる業界にも求められ、今般の「働き方改革」にまで急激な変化を末端の企業にまで求められるところまで急変した。そもそもESの犠牲に成り立ってきた医療福祉業界は社会や経済の整備がなされないままに、このES重視の時代の波が訪れ、現場の管理・運営はその波に飲み込まれそうになっているのが、現代医療の現状である。

この度、2019年4月1日をもって医療法人医仁会理事長に着任した。この船出は容易なものではないが、8年前に私が掲げた目標が時代に合致しており、これが最優先課題であり、大願成就のための最短コースであることも確信が持たれるところである。「管理」「運営」「経営」「教育」をそれぞれにおいて「あるべき姿」を追い求めて、これを達成することは、地域社会における医療と福祉のニーズに対して、確りと永きにわたって答えていく当法人の行き先であり、私に課せられた使命であり、着任にあたっての所信である。2025年問題と言われる年はすぐそこまできている。私の会社は、2045年、2055年を見据えた地域社会への貢献を約束して、「あるべき姿」を具現化していくために歩を前に進めていく。


センター長からのメッセージ

Message from Yutaka Kobayashi

さくら総合福祉センター長|小林 豊

  さくら総合福祉センター長からのメッセージ

さくら総合福祉センターは、2次救急の総合病院「さくら総合病院」を運営する医療法人医仁会が展開する福祉サービス施設を擁しております。福祉を必要とするすべての皆さんに、いかにご満足いただくか、これが我々のテーマです。

福祉施設に求める、最も重要なことはなんでしょうか?我々はそれは「安心」と「安全」と考えています。では、「安心」で「安全」な福祉施設は、急変したり新たな病気が発生したりしやすい入所者の方々へ、迅速かつ確実な医療を提供できる環境でなくてはなりません。当福祉センターが展開する「老人保健施設さくら荘」や「有料老人ホーム太郎と花子」では、必要に応じて「さくら総合病院」を受診してもらい、その病状次第では迅速に入院して治療を行います。

またこれらの施設で急変が起きた場合は、24時間365日「さくら総合病院」のドクターカーが、消防の救急車よりも早く、医師看護師同乗で駆けつけ、その場で評価と治療を開始し、必要に応じて病院へ治療しながら搬送し、早急に高度な検査や治療を展開します。このような福祉施設は日本国内に例がなく、文字通り「日本一安心安全な福祉施設」である、と言えます。

皆さんや皆さんのご家族には、何よりも「安心・安全」な施設で余生を過ごしていただくことが、何よりの幸せであり、孝行なのではないでしょうか。